共有

第39話 立ち聞き

作者: G3M
last update 公開日: 2025-12-14 04:58:40

 美登里が事情の説明を始めた。

「話が長くなるけど、三年前に私たちの両親が経営していたアルゴーという会社が二つに分かれたの。父親の第二アルゴー社と母親のローレル社よ。そのとき涼子姉さんは会社を辞めたの。ちなみに、範経と私が第二アルゴー社、けいめいがローレル社に所属したわ」と美登里。

「それで私は出戻ってきたの。こんな内輪の話、この子にしてもいいの?」と

涼子。

「麗華は父の義理の娘で、この子の母親は第二アルゴーの社員よ」と美登里。

「会社の話はすべて秘密だから、外ではしゃべっちゃだめよ」と美登里。

「あの、さっきから由紀さんと祥子さんも聞いてます。私と一緒に家に入って来てたんです」と麗華。

「あら、気が付かなかったわ」と美登里。

「ごめんなさい。立ち聞きするつもりはなかったのです」と由紀。「このまま挨拶しないで帰るのは悪いと思っているうちに、声をかけるタイミングを逸してしまって……。ご無沙汰しています、涼子さん。ほんとうにごめんなさい。すぐに失礼します」

「由紀と祥子、まだ範経に遊んでもらってるの?」と涼子。

「今は範経の彼女よ」と美登里。

「どちらが?」と涼子。
この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード
ロックされたチャプター

最新チャプター

  • 二人の彼女がいる理由   第142話 買い物 

     朝食を終えた範経とローズは、街へと出た。「買い揃えたいものがあるのだろう? 付き合ってやるよ」 肩を並べて歩きながら、ローズが言った。「頼む。まず武器屋に行きたい」と範経。「武器屋? 何を買う気だ」 ローズが怪訝そうに顔をしかめた。「刀だよ」 範経はローズの顔を見ながら答えた。「何に使う? お前には魔剣があるだろう」 ローズは眉間に皺を寄せた。「護身用だ。持ち歩く」「護身用など、この街では必要ないだろう。魔物退治のときだけ魔剣を携えれば十分だ」 ローズは当然のように言った。「ローズだって、いつもナイフを持ち歩いているじゃないか」 範経は母親を説得する子供のようにむきになった。「お前には必要ないと言っているだろう。何かあっても、あたしが守ってやる」 ローズがなだめるように言った。「俺にも必要だ」 範経はさらにむきになってローズの顔を見た。「子供には必要ない」「子供じゃないと言っているだろう!」 範経は怒った顔をした。「何に使うんだよ?」 ローズは仕方なく理由を尋ねた。「昨夜、リリーと歩いていたとき、チンピラに絡まれたんだ」「どうなったんだ?」 ローズはニタニタと笑いながら聞いた。「リリーがお金を巻き上げられた」「どうせ、しょば代だろう」 ローズは当然だと言わんばかりに言った。「ただのカツアゲだよ」「リリーは裏社会に生きているんだから、仕方ないだろう」 ローズは子供に言い聞かせるように話した。「俺は嫌だ」 範経は断固として言い切った。「チンピラに文句を言ってやれ」 ローズは呆れたように言った。「言ったさ」「それでどうなった?」 ローズは挑発するような表情をした。「馬鹿にされた。相手はサーベルを持っていた」「それで、護身用の刀を持っていたら抜いたのか?」 ローズは感心したふうに続けた。「もちろんだ」「やはりな。絶対に駄目だ。子供に武器は持たせられない」 ローズは真顔に戻って言った。「なぜだよ?」「街中で刀を抜くなど、正気か」「どうしてもというときだけだ。決まっているだろう」「タオルや歯磨きを買わなくていいのか? 一人暮らしを始めるのだろう」 ローズはあからさまに話題を変えた。「ごまかさないでくれ。俺は一人で買いに行く」 範経は別の方向へ歩き始めた。「わかった、付き

  • 二人の彼女がいる理由   第141話 家政婦

     範経はあらためてローズと向き合って尋ねた。「ところで、あのリリという女は、本当に体を売って生計を立てている娼婦なのか?」「さて、どうだろうね」「何か知っているのか?」「あの女は、このあたりじゃ気位が高いことで知られている。見た目は悪くないが、相手にしても愛想がないと評判なんだ。それで客がつかないらしい。近頃は、家政婦まがいの仕事――つまり家事の手伝いで日当をもらい、どうにか暮らしているという噂だ」「あの言葉遣いからすると、かなり教育を受けたようだが」「ああ、その通りだ。もともとは宮殿勤めの女中だよ、たしか女中頭だったはずだ。あたしも一度、宮中の公式の席で見かけたことがある」「それが、なぜ娼婦にまで身を落としたんだ?」「夫の不始末だ。同じく宮殿で執事をしていたらしいが、公金に手を付けて追い出されたそうだ。それ以来、この街では夫婦そろって信用を失った。そしてまともな職にも就けなくなった。やがて夫は姿をくらまし、女だけが残って、この有様というわけだ」「それは、いつごろの話だ」「二、三か月前のことだ」「噂をすれば影だ」 ローズがそう言って視線を向けた先に、レストランの入口で給仕と話し込んでいるリリの姿が見えた。 入り口でウエイターと話していたリリは、範経とローズが窓際のテーブルにいることに気がついたようだった。 リリは範経たちのテーブルに近づいてきた。今日の彼女は昨夜とはうって変わり、気の利いた旅館の女将のような落ち着いた装いだった。範経の席の横に立ち、腰をかがめて慇懃に頭を下げた。「冒険者ペルセポネのエロリック様、おはようございます」「何の用だ?」「今日からあなたの家政婦として働かせていただきます」「頼んでいない」「今月分のお給金を頂きましたので」「それは昨夜の働きに対する支払いだ」「昨夜のことは、娘を助けていただいたお礼です」「そもそも一万ビットなど多すぎます。あれが代金だとおっしゃるなら、あと百回は抱いていただきます」 範経は顔をしかめた。「そもそもホテル暮らしのオレに家政婦はいらない」「きちんとした部屋をご契約ください。私が探してまいります」「アパートなんて面倒くさい」「ホテルなど不経済です。少なくとも週に五千ビットは支払っていらっしゃるはずです」「一万だ」「ナンセンスです。しかもこの程度の朝食に三百ビッ

  • 二人の彼女がいる理由   第140話 子供扱い

     翌朝、範経はベッドの中でまだうとうととまどろんでいた。ノックの音がしてドアが開き、ローズの声が聞こえた。「エロリック、いるか?」 範経は体を起こした。ローズは遠慮なく部屋の中へ入ってきた。「まだ起きていなかったのか?」「朝が苦手なんだよ」「朝飯を食いに行こうぜ」 二人は部屋を出て階段を降りた。ホテルの一階は吹き抜けの高い天井になっており、その一角でレストランが営業していた。 入り口には、ねじくれた観葉植物が植えられた大きな植木鉢がいくつも並んでいた。そこに咲く花は、花弁の形が複雑で見る角度によっては人の顔のようにも見え、不気味な雰囲気を漂わせていた。 ウエイターに案内され、窓際のテーブルに座った。ローズはすぐに二人分の朝食を注文した。 やがて、焼いた卵と肉をのせた大きな皿、パン、そして果物が山盛りに入ったバスケットが運ばれてきた。「昨晩は楽しめたか?」とローズ。 範経は熱いお茶をすすり果物をかじり、昨夜のいきさつを話し始めた。リリからサービスを受けたあと軽く眠ってしまったこと、娼婦になる前のことを尋ねて機嫌を損ねたことなど、だいたいの顛末を語った。「すっかり嫌われたようだ」「それはあんたが悪い」 静かに聞いていたローズは、きっぱりと言って顔をしかめた。「なぜ?」「初対面の女に過去を聞くな」 範経は下を向いた。「しかも相手は娼婦だぞ」 ローズはやれやれといった表情を浮かべた。まるで、これだから子供は困ると言いたげだった。「仕方ないだろ。ぼくにとっては、この世界も、ああいう女性も初めてなんだ」「だが、その程度のことは常識でわかるだろ」 範経はため息をついた。この異世界でも、やはり自分は常識外れなのだろうか、と考えてしまう。「娼婦なんて二度とごめんだ」「お前、本当に子供だな」「どうすればよかったんだよ?」「あの兎女とは、一晩中やればよかったんだよ。二回目にあんたがしたみたいに押し倒して、そのまま朝まで続ければよかった。気が済むまで、徹底的にな」「そんなことをして、構わないのか」「お前はあの女の娘の命を助けたんだ。それくらいのことは覚悟していたはずだろう。それなのに、一万ビットをくれてやるなんて余計なことだ」「本当に?」 範経はローズの顔を見た。「いや、むしろその方が、お互いのためだったはずだ。お前は満足でき

  • 二人の彼女がいる理由   第139話 お礼

     リリとの交わりのあと、範経はそのまま浅い眠りに落ちていた。体を軽く揺すられて目を開けると、すぐ近くにリリーの顔があった。「どうかなさいましたか?」 その声は柔らかかったが、どこか他人行儀でもあった。範経は思わず目尻に滲んだ涙を指先で拭い取った。「いや、何でもない」 そう言って体を起こし、もう時間かと思いながらベッドの縁に腰を下ろした。リリも静かにその隣に座った。「寂しそうに見えました」 リリは心配そうに範経の顔をのぞき込んだ。ホームシックにかかった少年のように見えたのだろうか。「ああ、以前のことを思い出していた」「今朝、転生なさったと伺いました」「そうだ」「この世界はいかがですか?」「よくわからない。ぼくはなぜここにいるんだ……」「え?」 リリは意外そうに眉を上げた。「リリはいつからこの世界にいるんだ?」「お答えできません」 一瞬、リリの顔に狼狽の色が走った。「この世界のことを知りたいのだが……」「ご質問の意味を、分かりかねます」「お前も、初めから娼婦だったわけではないのだろう?」 リリはすっと立ち上がった。「お茶でもいかがですか?」 リリは冷たく範経を見下ろしながら言った。その声には、先程までの温もりは微塵もなかった。「ぼくは好きでここにいるわけじゃない……」 範経は俯いたまま、独り言のように呟いた。リリははっとしたように目を見開き、何か言いかけた。 範経は今更ながら、娼婦を抱いたことを激しく後悔した。立ち上がり、散らばった服を手に取り、急いで身に着け始めた。「ありがとう。オレは帰るよ」 その一言に、リリは表情を変えた。「お待ちください」「何だ?」「お帰しするわけにはいきません」「なぜだ?」「まだ、ご満足いただいておりません」「十分に礼を受け取った」「これでは、お礼になっているとは思えません」「だが、あんたは十分に尽くしてくれただろう。それで十分だ」 リリは一歩踏み出し、範経の前に立ちふさがった。「もういいんだ。オレはあんたのことが好きじゃない」「どういう意味でしょうか?」「金で女を買うなんて性に合わないんだよ。好きでもない女と向き合う理由が、ぼくにはわからないよ」「娼婦ごときに何をお求めでしょうか?」「あんたは子どもを助けてもらった借りを返すためだけに、オレをもてなしたのだろう?

  • 二人の彼女がいる理由   第138話 接客

     酒場のざわめきは、まだ耳の奥に残っていた。その向かいには、いかにも逢引きに使われそうな宿が、さりげなく、しかし露骨に建っている。ロマネスク風といえば聞こえはいいが、実際にはけばけばしく安っぽい。外壁にはピンクや黄色の光がせわしなく点滅していた。 リリに促されるまま、範経は小さな入口をくぐった。中に入っても空気は変わらない。けばけばしい照明ばかりがやけに目に突き刺さり、妙に落ち着かぬ気配が建物全体に漂っていた。 リリは何も言わず、受付で鍵を受け取ると、黙って階段を上り始めた。範経も無言でその後に従う。二階の廊下を少し進んだところで、彼女は一つのドアを開け、軽く顎で中へ入るよう促した。 それからのリリの動作は無駄が一切なかった。そして、営業用の作り笑いを唇の端に薄く浮かべた。 部屋に入るなり、リリは範経の体に寄り、手早く服を剥ぎ取った。自分もさっさと脱ぎ捨てると、そのまま範経をバスルームへ押し込んだ。たちまちシャワーの湯が、頭から降り注いだ。 リリはタワシとスポンジに石鹸をたっぷりと含ませ、範経の体を丁寧に、しかし事務的に洗い始めた。頭の天辺から足の先まで、まるで順序立ててなぞるように。範経はただ、じっと耐えていた。下ごしらえをされる野菜のような気分だった。 やがて彼女はバスタオルで水気を丹念に拭き取り、範経を大きなベッドのある部屋へと移した。動作は終始淡々としていて、いかにも一連の手続きのようであった。 裸のリリが、媚びるような表情を顔に浮かべ、音もなく彼の前に立った。その体は、どこか現実離れした均衡を保っていた。豊かに張り出した胸、きつく絞り込まれた腰、そしてその下に続く骨盤の大きさが、不思議な均衡を保っている。範経はただ眺めているだけで、内側にじわりと熱が生じるのを覚えた。 リリは何も言わず、作り笑顔をその顔に張り付けたまま、範経をベットへと導いた。仰向けに横たえさせると、その上にまたがった。自然と見下ろす形になる彼女と、見上げるしかない範経。視線の交錯は、ほんの一瞬だった。彼女の股間に、不自然に赤く大きく膨らんでいる大陰唇が範経の目に映じた。その異様な艶は彼の内に潜む欲情を、じわりと、しかし容赦なく掻き立てた。 不気味なほど隆起した大陰唇の間の割れ目がぱっくりと開き、柔らかな襞がはみ出し、内側よりピンク色の粘膜が、ぬめりを帯びて露わ

  • 二人の彼女がいる理由   第137話 用心棒

     範経は兎女の娼婦リリーに導かれるまま「ビストロ・モンストレ」の戸口を離れ、表通りへと歩み出た。外は相も変わらず色とりどりの街灯が明滅し、その光はむしろ不快なほどに眼を刺した。 リリの背丈は、姉の瞳とほぼ同じほどであった。背の低い範経が並べば、その視線はおのずと彼女の首もとに落ちる。そこから漂う香りは乾ききった花の残り香のように、かすかに胸の奥を騒がせた。 だが、がっしりとした体つきの瞳に比べれば、リリの骨格はひどく華奢であった。範経はそっとその腰へ手を回す。胸と尻にはほどよく肉がついているのに、くびれた胴は驚くほど細い。思わず力を入れるのをためらうほどであった。 リリは冷ややかな表情を崩さぬまま、ひと言も発せず歩き続けた。やがて表通りから二筋ほど奥へ入ると、ひっそりとした細い路地に出た。安っぽい酒場の前のテラスには、三人のならず者めいた男たちが、だらしなくたむろしていた。 その中から、頭に牛の角を生やした大柄な男がリリの方へ歩み寄った。「リリ、また客引きか」「そうよ」「子供じゃねえか」「腰抜けのあんたと違って、れっきとした冒険者様よ」「なんだと!」 その言葉を聞くや、範経は思わずリリの肩を押しのけ、男との間へと身を滑り込ませた。「やる気か」 男の声が低く響いた。 範経が身構えるや否や、角を戴いた男は腰の短剣へ手をかけ、ほとんど反射のようにそれを抜き放った。 だが、刃が光ったのとほとんど同時に、範経の足が男の手首をはじいた。短剣は乾いた音を立てて地面に転がった。範経は一歩踏み込み、相手の動きを封じるように距離を詰めた。 その成り行きを眺めていた残りの二人が気怠げに歩み寄って来る。一人は巻いた羊の角を頂き、顔には古傷の走る男。もう一人は血の気を欠いた細面に、鋭い角を突き出した背の高い痩身の男だった。いずれも腰にはサーベルを帯びていた。「リリ、ここで揉め事を起こす気か」 羊角の男が低く言う。「このでくの坊が、先に刃物を抜いたのよ」 リリは淡々と返す。「それは見ていたさ。だが、そのお坊ちゃんはお前の客だろう」と男。「正当防衛よ」 リリの声は夜気よりも冷たかった。「こいつが脅しで小刀を抜くのなんて、いつものことだ。それに人を斬る度胸なんてありゃしない。お前も知ってるはずだ」 羊角の男が、ため息まじりに言った。「バカ犬には、ち

  • 二人の彼女がいる理由   第96話 暴行

     ラボの三次元ホログラフィーに、範経が美登里と涼子をいたぶる様子が映し出されている。「二人の自尊心をつぶすつもりね」と圭。「プライドの高い美登里姉さんがよだれ垂らして泣き叫んでる」と明。「いい気味だわ。あはは」と圭。「鼻をつまんで押し込んじゃえ」「窒息しちゃう!」と麗華。「大丈夫よ。夢の世界では呼吸なんてしてないから」と明。「やっちゃえ! やっちゃえ!」と明が珍しくはしゃいだ。「容赦ないわね」とシャーロットが笑みを浮かべた。「そこまでしなくても……」と由紀。「だけど範経、楽しそうに腰を振ってるわ」と祥子。「次は涼子さんの番ね。仰向けにされてあちこちいじら

  • 二人の彼女がいる理由   第135話 コーヒー

     来店の折、席へ案内した給仕が、やがてまた静かに顔を現した。「お食事は、お口に合いましたでしょうか」 その声には、どこか慎ましやかな、控えめな気遣いが滲んでいた。「悪くない」 範経が素っ気なく答えると、給仕はほっとしたように、ほのかに微笑んだ。頭の上の不釣り合いな大きな耳を、わずかに震わせながら。彼は手際よく、食後の皿を一枚ずつ重ねていった。「お飲み物をお持ちいたしましょうか」「ああ、バーボンをもう一杯。エロリックはどうする?」「コーヒーをもらえる?」「かしこまりました」 給仕は一礼し、なおもその場に留まって言葉を添えた。「デザートはいかがなさいますか」「アイスクリーム

  • 二人の彼女がいる理由   第2話 祥子

     翌日の朝、範経が登校のために家を出た。一つ目の角を曲がったところで、クラスメイトの椿祥子に出くわした。「待っていたのよ」と祥子。「昨日の夕方に胸騒ぎがしたけど、引っ越しで家を出られなかったの。すぐ行ってあげられなくてごめんね」 祥子は体が大きくておっとりした性格だが、人並外れて勘がするどい。範経は何も言わず、祥子の大きな胸に飛び込んだ。「範経、何があったの?目を見せて」と言い、範経の頭を両手で押さえた。互いの額がぶつかるほど顔を近づけて、祥子は範経の目の中を覗き込んだ。「おめでとうって言いたいけど、このまま学校に行かせるわけにはいかないわ。家に来てちょうだい

  • 二人の彼女がいる理由   第1話 由紀

     唐崎由紀は幼馴染の塚原範経を連れて帰宅した。「お帰り」と母の裕子が出迎えた。「今日は祥子ちゃんと一緒じゃないの?」「祥子ちゃんは今日、お家の引っ越しなの」と言いながら由紀は框を上がった。 範経の腕を引っ張って、長い廊下の奥へ入っていった。由紀を溺愛する父親が「女の子の部屋は二階でなくてはいけない」と言って、平屋の屋敷の奥にわざわざ由紀の部屋を増築した。だから廊下の突き当りに階段がある。 由紀は範経の手首をつかんだまま階段を上がり、自分の部屋のドアを開けた。奥の窓際にあるベットに範経を押し倒し、スカートをひらひらさせながら腹の上に馬乗りになった。「答えても

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status